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2021/02/21

ストーリーとナラティブ

こんにちは。
リベラルコンサルティング協議会の矢萩です。

今回は、ストーリーや物語の重要性について、
書いてみたいと思います。

先日オランダのロッテルダム近郊で、
電車の脱線事故がありました。

線路は人工池の上を通っており、
あわや池に落下するところですが。

たまたまそこにあった鯨の尾の形をした彫刻に乗り上げ、
惨事を免れました。

一人のケガ人も出なかったため、
大事故として報じられることはありませんでしたが、
数日後、このニュースは世界中で話題になりました。

一体なぜ話題になったのでしょうか。

それは、このニュースには、
ある物語性が付随していたからなんです。

その彫刻は20年ほど前に設置されたものでしたが、
作品名は『鯨の尾に救われる』だったのです。

20年も前に付けられた作品名通りになったということで、
話題になったんですね。

この長時間の時を超えて伏線が繋がった感じが、
人々に物語を感じさせたのだと思います。

この「感じさせた」というところがポイントです。

ここに物語を感じるかどうかは自由なんです。

実際、現場の写真を見ると、
いつか事故が起こることを作者が予言できた可能性もありますが、
作者はそのことに言及しているわけではありません。

あくまでも作品をそこに設置しただけです。

物語を感じたのはこのニュースを見た誰かで、
それをSNS等でシェアしたところ同じように物語を感じる人が、
次々にシェアをして拡散していったということです。

いわゆるストーリーテリングというのは、
誰かがシナリオを作って、それを語ることによって伝えていきます。

永らく広告代理店の代表的な手法でした。

コンサルティングの世界でもストーリーを作って、
企業価値や商品価値を上げることはよくありました。

しかし、近年のSNSの浸透で、
誰かの作ったストーリーを消費して影響を受けることから、
自分をストーリーに登場人物として、

あるいは語り手として組み込んで行く
「ナラティブ」
という方法にシフトが起こってきています。

これは世界をメタに捉えることが常態化してきたからとも言えますが、
特に若い世代において、明らかに抽象的な目線で世界を見ている人が
増えてきているように感じます。

短いコラムで解説するのは難しいので、
セミナー等でお話しできればと思いますが、このことは、
デジタルネイティブ世代の環境とも大きく関連しています。

情報に触れて扱う量とスピードが上がったことで、
メタ認知能力が向上しているんですね。

そこで、誰かが作ったシナリオにただ乗っかるだけでは物足りず、
自分もそこに関わることでストーリーが完成し、
価値を感じるようになってきたわけです。価

値観の変容を捉え、クライアントよりもメタな視点に立たなければ、
構造的にコンサルティングは成り立ちません。

リベラルコンサルティング協議会は、引き続き、
現場に軸足を置きつつ、広く高い視点を持つコンサルタント集団を目指して、
前進して行ければと思います。